研究誌24号を発行しました
松本清張記念館研究誌 『松本清張研究』第24号
今回の特集テーマは「今読む「昭和史発掘」」です。「昭和史発掘」は1964(昭和39)年から足掛け8年にわたり連載された歴史ノンフィクションの代表作であり、日本が日中戦争に至るまでの道程を見つめた大作です。
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。国際世論に背を向けた武力行使、国内の情報統制強化などに、戦前・戦中の日本を想起した方も多いのではないでしょうか。いま、わたしたちは〈戦争の世紀〉への逆戻りに立ち会っているのではないでしょうか。「昭和史発掘」を読み直すことでそのヒントを得、歴史に学ぶことができればと考えテーマとして取り上げることにいたしました。
今後も、時代と社会、人間を鋭く問う清張作品の可能性を見つめ、その探求精神を継承していきたいと思います。
今読む「昭和史発掘」
対談
・「今読む『昭和史発掘』」
保阪正康・加藤陽子
論文
・「『昭和史発掘』の中の文学者たち」
綾目広治
・「元老西園寺公望の別荘坐漁荘における「お花騒動」に関する一考察
―松本清張『昭和史発掘』『老公』の成果の継承と発展」
奈良岡聰智
関連企画
小説に描かれる二・二六事件
・エッセイ
恩田陸・山田正紀・北村 薫・奥泉 光
・ブックガイド
編集部
エッセイ
・「不届き者、時代の「飛び石」を論じる」
坂上 泉
再録
・「『二・二六事件=研究資料』Ⅰ編者あとがき」
・「『二・二六事件』第一巻まえがき
松本清張
・「松本清張の実像」
藤井康栄
誌上再録
・「研究発表「松本清張:メディア・アダプテーション・ミドルブラウ文学」
十重田裕一
寄稿
・「松本清張「或る『小倉日記』伝」と『両像・森鷗外』、そして森鷗外の知られざる台湾体験」
呉 佩 珍
記念館研究ノート
・「林熊生こと金関丈夫と松本清張」
栁原暁子