研究誌『松本清張研究』第5号
松本清張は推理小説、歴史小説、近現代史、古代史、ノンフィクションなど多岐にわたる文学ジャンルにおいて、作品を書きつづけ、多くの読者に支持されたが、その創作活動の多様さ、裾野の広さから容易に全貌が見渡せず、未だ十分に研究が進んでいない状況にあります。
『松本清張研究』は、全国の第一線研究者を網羅し、さらなる研究の推進と後継者の育成をめざして、年一回、記念館で発行する研究誌です。
特集 松本清張の敗戦前後
座談会
・戦争体験が作家にもたらしたもの/城山三郎・色川大吉・平岡敏夫
軍隊篇
・松本衛生兵の朝鮮体験/南 富鎭
・衛生兵の<点と線>――「任務」と「繁昌するメス」――/栗坪良樹
・もう一つの原点――「百済の草」と「走路」――/綾目広治
・「遠い接近」の後景 ―― 松本清張の軍隊体験 ――/花田俊典
占領期篇
・「日本の黒い霧」の時代認識と評価
――「黒地の絵」と帝銀・下山・松川事件諸作品の資料検証 ――/藤井忠俊
・松本清張が見た戦後/金子勝昭
アンケート
・『日本の黒い霧』 ―― 私はこう読んだ
論文
・「表象詩人」論 ――あるいは<詩人>のオブセッション――/天沢退二郎