研究誌『松本清張研究』第14号
清張は『点と線』などの社会派推理小説で一躍人気を博しますが、今号ではそれより前に発表した、数多くのすぐれた短編に着目しました。
また、中国・韓国・台湾・シンガポールと、アジアに広がる清張文学研究の現在もご紹介します。
論文のほか、座談会、多彩なエッセイから、清張作品の魅力を多面的にお楽しみください。
(2013年3月31日発行)
特集 初期短編小説 ―― 巨大な清張文学の母胎
対談
・拝啓、清張先生――清張作品の魅力再発見/北村薫 ・ 宮部みゆき
論文
・松本清張の作家としての出発――初期作品の可能性の射程――/小森陽一
・〈士族〉の矜持――松本清張「啾々吟」論/石川巧
・「或る『小倉日記』伝」と強者の論理――モデルの扱い方を起点として/大井田義彰
・松本清張の初期小説と自伝的要素/松本常彦
・初期作品に見る敗れゆく者たち/川本三郎
エッセイ
・清張の言うクリスティの「砂袋」とは/数藤康雄
・『鬼畜』の利一を想う/郷田マモラ
・やはり救済者、清張/島田荘司
特集 国際共同研究 東アジアにおける松本清張作品の受容
・魯迅「故郷」と松本清張における「父系の指」から「張込み」への展開/藤井省三
・松本清張と丸山眞男の朝鮮/南富鎮
・清張ミステリーと中国――映像メディアの力/王成
・『種族同盟』から『黒の奔流』への逆転清張文学の女性像をめぐって/于桂玲
・メディア、流行文学とテレビ・受容 香港―― 一九八〇年代における松本清張翻訳ブーム/関詩珮
・「歪んだ複写」 : 一九八〇年代台湾における松本清張の翻訳と受容/陳國偉
記念館研究ノート
・松本清張「駅路」論――サマセット・モームを手がかりに/柳原暁子